2009年1月31日土曜日

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言




構造改革の急先鋒であり、SONYの社外取締役でもあり、われわれ経済学徒にとっては、画期的な教科書「入門マクロ経済学」の著者でもある中谷先生が、この2008年世界経済大不況について、「私の考えは間違っていた! 「転向」する」という「懺悔の書」です。

アメリカに上陸したカルヴァン派の新教徒は、西へ西へとフロンティアを求めつつ、キリスト教の一神教主義に基づくアメリカ流のグローバル資本主義の基盤を作っていきます。

この理論のそもそもの発端から始まり、ソビエト崩壊でますます勢いを得た新自由主義経済の理論的背景等の詳しい叙述で前半は進行します。

後半、日本の、そして日本人の自然に対する感受性、海外から見れば特殊ともいえる雇用関係、そして多神教社会に住むという日常性が述べられます。

今回の世界不況の原因とも言えるアメリカ流の新自由主義経済を擁護してきた中谷先生は本書で、「懺悔」をする一方で、日本経済回復への「提言」をしています。最終章のこの部分、とても好感が持てます。

また本書で述べられているキューバ、ブータンの国民について、「国家に対して不満を持たず」「明るい表情をしている」というレポートがとても印象深く感じられます。

2009年1月28日水曜日

「知の衰退」からいかに脱出するか? 大前研一




大前氏は本書で、日本が経済的に長期衰退傾向にあるのは、”考えない人間”が増えているため、すなわち「知の衰退」が起きているためであると述べている。

大前氏は、長年にわたり、日本が生活者主権の国として繁栄するために具体的かつ建設的な提言を行ってこられたが、本書を読んでいると、「集団IQ」が低下し、さまざまな「知の衰退」現象が見られる我が国が再び繁栄できるのかと暗澹たる気持ちになった。

それと同時に、個人として”考える人”となり、行動し、世界と渡りあっていこうという勇気も与えられた。

「集団IQ」を高めるための方策や「21世紀の教養」など、いつもながらのグローバルな視点からの考察は大変興味深く読めた。

2009年1月26日月曜日

面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則




『面倒くさい』を根拠として、さまざまな問題を事前に解決していく方法が55つにわたって紹介されています。

本書では、まず『面倒くさがりや』の定義付けがされています。

堕落型の『面倒くさがりや』と先行型・変革型の『面倒くさがりや』の2つが存在しているようです。

堕落型は、一般的な意味の『面倒くさがりや』ですが、先行型・変革型は、特殊な意味で使われています。

几帳面な『面倒くさがりや』と言い換えれるかもしれません。

小さな問題は、ほおっておくと大きな問題になりかねません。

大きな問題は、面倒くささも大きなものとなります。

事前に解決策を講じておいて、面倒くさいことをさけることを推奨しています。

面倒くさいと感じることは、ダメなことじゃありません。

逆に、健全なことです。

『面倒くさがりや』というと、面倒くさいと感じほっておくという印象があります。

本田直之さんは、ほおっておくのではなく、対策を行う『究極の面倒くさがりや』を自称しています。

2009年1月25日日曜日

読めそうで読めない間違いやすい漢字




某総理大臣が漢字誤読を連発してマスコミの好餌になりましたが、マスコミのアナだって「イチヤ報いる」などと言う人がいます。漢字は複数の読み方があるうえ、あて字が多いので、正しく読むのは至難のわざです。本書は、漢字が正しく読めているかどうかを試す格好のチェックリストです。

まず、誤読の定番として240ほどの漢字語句(一矢など)が列挙されます。

頁の表に間違いやすい漢字語句、裏に正しい読み方と誤読例、簡単な解説が載っています。ついで、字は似ているが意味の違う漢字(爪と瓜など)、厄介なあて字(寸々など)、難読語の音訓、動植物名などを扱います。世の中は、漢字をできるだけ使わないですます方向に動いていますが、本書の前半に出てくる漢字ぐらいは正しく読みたいものです。

2009年1月17日土曜日

男道 清原和博




野球人・清原和博が、その激動の人生を自ら綴った一冊。

やんちゃ坊主だった少年時代からプロ野球・オリックス・バファローズでバットを置くまでの41年間の出来事、出会い、別れ、感情等が穏やかに語られている。

前宣伝でやたら強調されていた読売や王貞治、桑田真澄への怨み辛み文句などは当時の気持ちを正直に記してある程度で、あとは彼らへの「感謝」の気持ちに満ち溢れている。

不思議なことだが、本書を読んでいると読者の目の前で清原和博が本音で語ってくれている、そんな感覚に陥る。

本という媒体を介してはいるが、そこに印刷された文字からは清原和博という人間の魂を感じる、嘘偽りのない肉声、本当の彼の人間性が伝わってくる。

もともと筆が達者なことで有名ではあったが、本書からは清原和博の「文才」を感じる。

個人的に特に好きなのは野球に出会う以前、泥んこになって遊んでいたヤンチャ坊主時代と、故郷岸和田を離れPL学園寮に「収監」されるまでの情景・心理描写だ。

やはり抜群に表現力が豊かで、読者の脳内で映像化して簡単に追体験できるようになっている、まるで何かのドラマや映画を見ているようだった。

全ページこのような調子なので、読者も読み応え十分、読破するのに時間がかかる、一流の自伝に仕上がっていると思う。

欲を言えば、清原和博の濃厚な人生を振り返るにはまだまだページが足りず、書き切れていないと感じたし、清原本人もそれに近いことは本書内で書き記している。

できれば第2弾も読みたいものだ。

これを上巻にして、下巻を発売してはどうか。今度は人物中心の話になると思う。

なんにせよ素晴らしい一冊である、清原和博の新たな人生に幸あれ!

2009年1月15日木曜日

みとめの3原則 - 人間関係にも業績アップにも効く「1日たったひと言」の仕事術




年始から不思議でそして、良すぎる本に出会ってしまった。

この本は、ビジネス書でありながら、営業でもなくマネージメントでもなく、経営戦略でもない・・・。

しかし、全てに通ずる本である。

このめちゃくちゃ簡単な「みとめ」を実践するだけで、経営戦略も、マネージメントも、営業のテクニックも全てがいらなくなる。

テクニックを超えた、人間の根本、無意識に訴えるコミュニケーション。

それが、「みとめ」である。

この本の欠点を一つあげるとすれば、あまりにも実践するのが簡単である。

だから、こんな簡単なことで全てがうまくいくわけがない。

と思ってしまう人がいることである。

しかし、簡単なところに真実が隠されている。

素晴らしい本である。

2009年1月12日月曜日

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術




古い書類、処分を迷ったら捨てるか、それとも取っておくか?

正解はどちらでもよいので決めておくことだという。
その都度迷って時間をロスすることが一番いけないのだとある。なるほど、その通りで明快だ。

仕事をなし遂げる技術や整理術を体系的に解説してくれる好著。アナログ派だろうがデジタル派だろうが問わないのがうれしい。

こういうことは今後、新入社員教育でびっちりたたき込むことになるのだとは思うが、今からでも遅くないはず。
ナレッジワーカーが仕事をなし遂げるための必読書だと思う。

2009年1月7日水曜日

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」




後半の行動実験には辟易されましたが、私たちの消費行動に関するテーマと切り口はとても鋭いと感じました。

もう少しポイントを絞って書いてくれたらよかったです。

私なりに抽出した肝心のポイントをいくつか掲載してみます。

選択肢が三つあると、たいていの人が真ん中を選ぶことを心得ている。
(商品を売るために、その商品より一回り高価な価格の商品をあえて陳列する。とか、スターバックスのカップサイズに3種類あるとか、値の張る料理をメニューに載せるとレストランの売り上げが増えるとかいったこと)

2番目って選びやすいですよね☆

ダン教授によると、「わたしたちは、身の回りのものを常にほかの者との関係でとらえている」のだそうです。

※エコノミストの定期購読にWEB版が無料で付いてくるわけではなく、定期購読をさせたいために、WEB版が付いていない定期購読キットを同じ価格設定にしているのである。

…うまい具合に騙されている(~0~;)

このあたりの説は、最後半に書かれていること「ちょっとした物は簡単にくすねるのに、現金には絶対手を出さないプチ泥棒たち」と共通していますね。

お金が絡むとシビアになるのに、それが違う形に姿を変えると(商品や金券、数字のデータ)人間はいとも簡単に不正を働いてしまうのです。

出張費のごまかしや、経費の割増なんか皆さん心当たりありますよね。


その他、特売の数十円の価格差にはいちいちこだわるのに、大きな買い物の際の数千円数万円の差にはけっこういい加減なものである、などなど、面白い話題てんこ盛りですよ。

2009年1月2日金曜日

世界連鎖恐慌の犯人 (Voice select)




 緊急出版ということで、2008年秋の世界同時金融不況の原因となったあのいわゆるひとつのサブプライムローンの欺瞞的な内容、CDSとCDOのからくり、金融資本主義の主役であるインベストメントバンクとヘッジファンドの腹黒さ、これらがわかりやすい表現で説明されています。

 このたびの世界不況について、堀氏は、「誰かがほんとうのことを語らねばならないのだ。」と「まえがき」では、威勢良く書いていますが、本文は結構おとなしい。読者としては歯がゆさを感じます。堀さんも本当はもっと踏み込んで、詳しく書きたかったのでは、と思わせる部分が何箇所もあります。

(固有名詞等々を出すことにはいろいろと差しさわりがあるようで・・・・・。)

 堀氏が設立したドリームインキュベータ(DI)に転職してきた人のことを記述している箇所がありますが、ここを読んで、一度、このDIという会社で働いてみたくなりましたね。

 不況下の現在、最終章の「「ピンチこそチャンス」の発想を持とう」には勇気付けられます。